X4 or X8 ?? どっちが強いのPEライン

2020年8月19日

現在のソルトルアーシーンのメインラインといえば、ほぼ『PEライン』といっても問題ないほど、あらゆるソルトゲームに浸透している。

モノフィラメント系ラインの登場シーンと言えば‥
私の場合、ショックリーダー(用途に合わせてナイロンorフロロ)とジグ単アジングのメインライン(エステル)くらいで、それ以外の釣りは全てPEといった状況である。
これは、私の釣りがショアからのキャスティングゲームを主としているので、その傾向になるのも仕方ないといえる。

何より飛距離が優先されるシーンが多いこと。
飛べば釣れるというわけではないけど
飛ばせるに越したことはないのがショアキャスティングゲーム。

キャスティング時の最大の抵抗となるラインは細いに越したことはない。
キャストの際に高切れして、無抵抗で放出されたルアーの飛距離がどれほどのものか…皆さんも思い当たると思う。
モノフィラメント系ラインの約1/4の細さで、ほぼ同等の引っ張り強度を確保できるPEラインは、モノフィラしかなかった時代の釣りの話に触れれば触れるほど、ほんと素晴らしいラインが登場したんだなぁとつくづく思う。

また、伸びが少ないという特性もルアーゲームにマッチしている。
ルアーのアクションレスポンスや操作感度など、低伸度だからこそ可能になった釣りやテクニックも多いと思う。

さらには、PEラインそのものの比重や重量が軽いってことも大切
ラインやフックは、サカナ釣りにおいて魚を手中におさめるための最重要アイテムであると同時に、ルアーを操作する、動かすという部分においては常に足枷的な位置付けにもあたる。
まぁ無いとサカナ釣れないんで仕方ないんだけど、ルアーのアクションレスポンスに対してだけでいえば、重しであるラインやフックは実用範囲内で軽く細いに越したことはないということになる。
この点についても、PEは結構優秀なんじゃないかと思う。モノフィラ通しの緩いアクションのほうが艶かしくて良いということもあるけど、そこはルアーそのもののセレクトや接続方法、リーダーなどで調整できる範囲かなとも思うわけで‥

よほどの事例でない限り、ナイロンやフロロなどのモノフィラ通しで無ければ!!ということにはなりにくいのがソルトの釣りだと思う。
(まぁジグ単アジングなんかだと、そもそもライン強度も飛距離もいらない釣りなんで、それこそモノフィラでも良いシーンも多いのだけれど…)

また話が逸れていきそうなんで、そろそろ本題へー。

PEラインは、大まかに4本撚り(x4)と8本撚り(x8)の二種がメジャーである。
ここでいう『撚(よ)り』というのは、一本のPEラインをつくるのに編み込んだポリエチレン原糸の本数を示していて、ようはPEラインってのは、タコ糸のように複数の原糸を編み込んで一本の糸にした撚り糸であるということ。
(中にはファイヤーラインのように、複数の原糸を編まずに束ねて固めているものも稀にある)

基本原則として、撚り数が多ければ多いほど、ラインの断面が滑らかになり真円に近づくので引っ張り強度が強くなるとされ、表面積が少なくなるので抵抗も少なくなる。
つまり、x4よりx8のほうが一般的には扱いやすく強度もあるので高価であるという認識でほぼ間違いない。

ただ、それぞれのPEラインの使用による強度劣化について語っている方や記事はあまり見かけないので、私なりにそこについて記載しておきたい。

まず、前途した通り、新品での単純な引っ張り強度においては、撚り数の多い100%PEラインが強いと思う。x4よりx8。x8よりx12って感じだ。

100%PEではないモノフィラ混ぜ系のコンポジットラインもあるが、そもそも比較対象にあげるのはどうか?と思える強度なんで割愛するが(もちろん、他の利点があるので釣りによってはそういうラインもあり)

最近ハヤりの低伸度PEってのも、普通のPEラインよりは弱く感じる。そもそも余りにも伸びないってことはキンキンに張った状態、遊び代がそもそも無いってことなので、意外と簡単にプチっと切れる感覚がある。ロックフィッシュやチニングなどのボトムゲームで幾度と根掛かりを切りまくっていると特に『低伸度、弱いな』と感じる。
まぁ私の場合、そもそもライン強度以上にサカナが圧倒的に弱い釣りで多量のラインを放出するフロートアジングなんかで使う機会が多いのが低伸度PE。

まぁx4とx8の使い分けも実際はそんな感じ。

PEラインは劣化しないという神話が今だにあるそうだけど、どう考えたって使えば使うだけ弱くなる。
そりゃ新品未使用で戸棚の中ならほぼ変化なしだけど、あくまで新品未使用でも劣化し続ける、もしくは使用後の劣化速度が著しいモノフィラと比べての話。
当然使えばヨレるし、水中のあらゆる不純物や粒子に研磨され、多量の水分を含み重くもなる。=実釣で使用すればするほど強度劣化が起こるのは間違いない。

んで、PEの強度劣化で一番の懸念材料と思うのは、原糸の破断だと思う。
これが
結構深刻で、撚り糸であるということは、一本の原糸の破断や強度劣化が全体に著しい影響を及ぼす。
モノフィラだと削れた分その箇所だけ強度が落ちる感じで済むんだけど、PEのそれはもぅ凄まじいレベル。

つまり、新品の均密に撚られた状態を100%強度とするなら、現場で使用することによるあらゆる磨耗によって原糸が傷みその一本が破断すると、全体強度はもぅ30%以下くらいになり、その破断箇所から5mほどはつかいものにならない感覚にある。

ここで聡明な貴方なら理解できると思うが、一本の原糸が細ければ細いほど現場での強度低下は早く、その劣化は致命的であるということ。
つまり、同じ太さの糸を形成するのに4本の原糸を使うx4と、8本の原糸を使うx8では一本の原糸の太さが違うわけで、この特性を理解していれば、どっちが長く使えるか?どっちが早くダメになるか?という話に悩む必要はなくなる。

確かに8本撚りは、水中での抵抗が少なくシルキーな使用感で扱いやすいラインだが、傷にはめっぽう弱い印象。
メインラインの干渉が少ない釣り、バーチカルな釣りや中層以浅を釣る釣りなら最適であるが、ボトム周辺を攻める釣りや磯場などのシチュエーション(メインラインに傷が入る可能性の高い釣り)、ガイドに強く干渉する釣りなどには、個人的にあまりオススメできない。

私の肌感覚的では、ショアキャスティングゲームにおける8本撚りは4本撚りの半分ほどの期間しか持たない印象で、価格も相まって、まぁよりプロユースなラインかなと思う。
ただ、ラインが水を切るノイズが気になる方や、そもそも釣行回数がそんなに多くはない方、釣具に投資できる金額が多い裕福な方は、常に8本撚りでも良いと思う。

引っ張り強度に関しても、正直、私は4本撚りより8本撚りが特段強いとは感じていない。
そもそも各メーカー同号数の細さ(ダイヤ)などの基準が今だ統一されているわけではないので、メーカー間の強度比較などはあまり意味をなさない。
どこどこのラインが強い!!なんて話も良く耳にするけど、同じ下請け会社で同じ製法・原糸で作られたモノを比較していたり、そもそも比較に値しないくらい太いよね…ってなモノまで、知っている人からすれば脇腹痛くなるようなイタイ話も多いのがラインネタである。

まぁ私の感覚でいえば、長く同じラインを使いたいなら4本撚り、シルキーな使用感を優先したいなら8本撚りという感じで良いのでは?と思う。

ちなみに‥どこのどんなラインであれ、使った分だけどんどん弱くなるのは共通事項。
特に、砂の粒子が舞うサーフや河口域の釣りではラインの表面劣化が著しく思える。

ラインのアフターケアとしては、釣行後にすぐに潮抜きして陰干し乾燥。
その後、色落ち(表面コーティングが剥がれている)&ラインがケバ立っている部分をカット(釣りにもよるけど、釣行毎に大体5~20mくらい)。
余裕があれば、ラインコーティング剤を散布して保管といった感じ。

そもそもリーダーとの接続でだいたい70%くらいまで強度が下がることも加味しておかないといけないし、根掛かりを切ったりしたら、切断箇所から上10mくらいはかなり弱くなるのも知っておいて損はない。

また、足蹴なくフィールドへ通うアングラーなら解ると思うが、PEラインの巻き替え時ってのは、キャストした際にスプールの底が見えるとか、根掛かりを切る際にいとも簡単に破断することが多くなった時。高切れが頻発するようになった時(それ以外の原因、例えばガイドリングが死んでるとかがない時)は、そろそろそのラインの巻き替え時では?と思います。
やはりラインがいろいろと接触する機会が多い釣りこそ、その劣化スピードは早いし、巻き替え頻度も多くなる。

最後に…
まぁ日頃感じたことを長々と書き出してみたわけだが、あくまでこのネタも私個人のフィールドでの経験で得た見解である。
メーカーの見識とは異なる部分もあるとは思うが、率直な現場の意見として、私はこうかな?というのを記載している。

何か一つでもあなたの釣りの参考になれば幸いである。